最終的にヤンデレ落ちになります。狂愛風味です。
「共犯者」シリーズ以上にエグくなる予定(たぶん)ですので、
嫌悪感を感じられる方はブラウザバックをお勧めします。
バッチコーイ!な方のみお進みください。
甘露02
存外、自分もただの男だと、ぐったりとしたの身体を抱きながら半兵衛は思った。
女に興味はあるが、それも人に比べればかなり淡白なほうだろうと思っていた。
京に行った時、秀吉は一夜に三人も四人も相手をしたと言っていたが、到底自分には真似が出来ぬ。気が向いた時に添う女がいればいいし、最近はとんとそんな気持ちになっていない。
だが、久方ぶりに抱いた女の柔肌に理性はどこかへ飛んでしまい、義理立てのつもりで抱き寄せたはずが、熱に浮かされいつの間にか組み伏せていた。
の身体を思いやる余裕もなく、二度三度と精を解き放って、意識を手放した娘の身体を抱いている。
いくら好いていてくれているからと言って、無理をさせたのではないかと今更ながらに半兵衛は罪悪感を覚えた。
そして当然のことながら、後ろめたさもある。
は自分がどういう官兵衛の思惑を受けて、半兵衛の元へ送られたのかきっと知らないのだ。
当然、客人をもてなすという意味合いもあるのだろうが――――官兵衛は半兵衛に手綱を付けたいのだ。半兵衛がと懇ろになれば、当然半兵衛は間接的に官兵衛の監視を受ける事になる。を通じて、何か己の有利な方へ半兵衛を動かそうとするかもしれない。
つまり、捧げられた供物であると共に、これは罠の一つでもある。
半兵衛がそれに気づかずわけではないが――――さすがに目的があからさまな見知らぬ女なら切り捨てられるが、相手がとなるとそうもいかない。の純粋な恋心を知らぬわけではないし、精一杯の勇気を振り絞って想いを告げた少女を、冷たく突き放すのはさすがに残酷に思えた。
だが、だからと言ってまんまと官兵衛の思惑に乗るつもりもないのだ。
関係を持ったからと言って、このまま恋仲に収まるわけではないし、都合の良い側女にするわけにもいかない。
身体はとっくに線を越えたくせに、心は別だと言う道理は自分勝手でしかないが、それとこれを混同すると大変な事になる。そこは非情であろうと割り切らねばならない。
だが――――何も知らない無垢な少女を食い物にした。その事実だけは確かなのだ。
情事に耽る己の余裕のなさも相まって、何も知らないに対して罪悪感と後ろめたさを半兵衛はひしひしと感じていた。
「ん……」
すべらかな肩を抱き寄せると、がわずかに身じろいだ。
固く閉ざされていたまぶたがゆるゆると持ち上がる。
「半兵衛様……」
未だ夢の中にいるようなうっとりとした表情で、抱きしめられた身体を更に半兵衛に寄せる。
「まるで夢のようです」
男と女になれた事が嬉しいのか、は頬を薔薇色に染め、今にも蕩けてしまいそうな恍惚とした表情で告げた。
こんな顔をされて、突き放せるはずがない――――
策だと知っていながらも縋りついてくる女は可愛いもので、半兵衛は己の熱が再び滾りつつあるのを感じた。その戸惑いに気づいたのかはやんわりと微笑むと、一夜限りで良いのです、と告げた。
官兵衛の思惑は図りきれずとも、客人に差し出された女がどういう物なのか、なりに弁えているのだ。
「どうか月が沈むまでは……、可愛がってください」
こんな形で想いを遂げたというのに、決して主張しすぎないその健気さに、胸の奥の深い所を甘噛みされたような心地になる。
まったく、男というのは軽薄だ。
自分勝手な理屈をこねるくせに、自分を頼って縋りつかれれば、簡単に欲望に負けてそこに付け入るような真似をする――――
己の狡さに辟易しながらも、半兵衛はむくむくと首をもたげた欲望に抗う事はしなかった。
もう一度、身体を抱き寄せ組み伏せると、はそれが喜びであるかのように従順にそれに従った。
end
月が照る間だけの甘い関係。