いつもの事ですが、この話にはキャラのイメージを損なう表現が多々あります。
変態とアホの呪いに苦しむ人々ばかりです。
それでも許せる方のみお進みください。
一家狂乱・湯煙
「ん〜、極楽、極楽」
半兵衛ははあっと吐息を漏らすと、日ごろの疲れを癒すように、思い切り伸びをした。
露天風呂から立ち上がる湯気が視界をぼやかせる。伸びをしたまま顔を空に向けると、満天の星空だった。
「旅館は綺麗だし、お風呂もいいし、ほんと快適だよね〜」
同じように湯に身体を浸した官兵衛が、
「悪くない」
と、珍しく素直に同調した。
「偕楽園も綺麗だったしさ〜、ここにして良かったよ」
あれだけネズミ王国に固執していたも、今回の旅行には満足したはずだ。昼間はまるで子供に返ったようにはしゃいでいた。
が楽しそうにしているなら、半兵衛にとってもここを選んで正解だったというもの。年頃の娘であるのに、日ごろやれ戦だやれ政務だと、それっぽい遊びなど何一つ知らないのだから。
だから、に笑顔を与える事ができたのを嬉しく思うと同時に、誇らしく感じた。
「俺って大っ人〜」
目を閉じて、ゆったりと湯につかると、どこかで獅子脅しの音が響いた。
本当にここにして良かったと思う。
ただ一つ難点を挙げるとするならば――――
「清正っ、もっと右、右! くそうっ、湯気が邪魔で見えやしねえ!」
「おいっ、おねね様はいるのか? いるんだな!?」
「ふん、馬鹿ども。そんな分かりやすい策を使うな。左近、こういう古い旅館には、どこかにのぞき穴があるのが常套だ。まずはそれを探し出せ」
「殿、左近はまだ死ぬのはごめんですよ……」
ぎゃあぎゃあとまるで子供が集まるように。
「ほーんと、余計なのが居なければ、もっとサイコーなのに」
とりあえず、女風呂を除こうと画策している正則と清正をざっくり羅針盤で片付けて、半兵衛は苛立たしげに呟いた。
今回の休暇は軍師たちだけに与えられた褒美だったはずだ。
それが、
『旅行は大勢の方が楽しいよ!』
と、ねねの思いつきで余計なオプションがついて来てしまったのだ。当然、半兵衛は不平を述べたが、先の一件もあり、
『をオオカミと一緒に旅行なんていかせないよ?』
と言われてしまうと、反論のしようがなかった。
ともあれ、軍師だけの慰安旅行は、いつの間にやら豊臣一家の楽しい家族旅行にすり替わっている。
それもそれで悪くはないのだが――――
「左近、見ろ。やはりあったのだ! 急ぎ一眼レフを持って来い。今すぐにだ」
竹垣の合間に穿たれた小さな穴を見つけ、三成が興奮気味に言う。
男子校か、ここは。
「ねえ、その毛もじゃ引っこ抜くよ?」
と、三成の頭のモフモフを、ぎゅうぎゅう引っ張りながら半兵衛。というより、風呂場でそんなものを装着したら湿気でえらい事になるのではないか。
「まあ、待てよ。ここは仲たがいするより、協力しないか」
そんな中、珍しく清正が同盟を提案した。
「三成は一眼レフでのぞき穴を守りながら、俺の土台になる。半兵衛はその羅針盤で上から女風呂を見張る」
「なあ、清正? 俺は?」
「正則は囮だ。わざと反対側で物音を立てて、女風呂の注意を引くんだ」
「しゃあっ、任せておけ!」
自分だけ損をすることに気がつかないのか、正則はやる気満々という顔で両腕を上げた。
仲間や友達という言葉に惑わされ、パシリに使わされるタイプだ。
「それって結局、三人が違う位置から覗くって事じゃないの?」
馬鹿馬鹿しい、と半兵衛が口にしかけた瞬間、
「〜。ねえ、ちょっと胸大きくなったんじゃないの?」
「ちょっ、おねね様! やめてくださ――――くすぐったい!」
少年漫画でありがちなお色気シーンを再現するような台詞が、竹垣の向こうから響いた。
半兵衛はぐっと拳を握り締め、
「準備ばんたーん」
羅針盤の刃を勢いよく回転させたのだった。
「いいか、せーので行くぞ。抜け駆けすんなよ」
「わかったから、早くやれ。重い……」
両肩に清正の足を乗せ、一眼レフを構えた三成が苦しそうに呻いた。正則はいつでもいけるぜ、といい笑顔で親指を立てる。
四人が呼吸をそろえ、飛び出そうとした瞬間――――
「乱世の火種はすべて潰えよ」
当たり前といえば当たり前なのだが、官兵衛の呼んだ鬼の手が四人を空の彼方へ打ち上げた。
「なんだか、男風呂は騒がしいねぇ」
と、騒音にねねが顔をしかめたのも当然である。
end
ありがち覗きネタ。
結局、みんな付いて来ちゃいました。
三成には裸でもあの毛もじゃはつけていて欲しい。
ええ、つまり武士という名のへんt(ry