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!CAUTION!
大変今更ですが、キャラのイメージを損なう表現が多々あります。
変態とアホの病にかかった子ばかりです。
それでも許せる方のみお進みください。




















軍師騒乱03





「バカ! バカ、バカ、バカ! このバカ則!」
 敗走した正則にぶつけられた最初の言葉は、バカだけで統一された罵倒だった。
 地面に正座された正則を、は信じられないといった顔で見下ろしている。
 戦力はあきらかにこちらが圧倒していた。策に狂いなどなかった。あのまま正則が攻めていれば、勝利はすでにの手中にあったのだ。
 それを、こんな――――
「こんないやらしい写真なんかでっ!!」
 はきぃぃっと奇声を上げ、正則の手から写真を奪った。ああっ! と正則が声を上げるより早く、それをびりびりに破り捨てる。
「お、俺の宝が……」
「宝にしなくていいっ!! ああっ、もう許せない!! こんなの策なんかじゃないっ!! 私の華麗な軍略をこんな、こんな――――
 ああもうっ! とはびりびりに切り裂いた紙片に足を乗せると、ぐりぐりと踏み潰した。あんな写真を撮られていただけで恥ずかしいのに、それに自分の渾身の軍略が負けたなどと……認められるはずがない。女であると共に一人の軍師として許せることではない。
「絶っっっ対にこの戦、勝つよ!! いいね!?」
 と、三成と清正を振り返る。二人は呆れたような仏頂面で、分かった分かったと適当な返事を返した。






「へえ、俺と官兵衛殿を同時に潰しに来たか」
 半兵衛は自軍に向かってくる三成の軍を楽しげに眺めた。
 正則の部隊を壊滅させ攻勢に転じた両兵衛の軍は、半兵衛と官兵衛の率いる二部隊に分かれていた。そのそれぞれの軍の追撃に向けられたのが、三成と清正の率いる部隊。半兵衛の元には三成の軍が当てられた。
 正則が敗走させられたとはいえ、いまだ軍の方が戦力は優勢。落ち着いて各個撃破すれば、負けないとの判断によるものだろう。
「俺はこんな下らぬ戦はさっさと終わりにしたいのです」
 と、三成は心底面倒くさそうな顔で告げた。
 子飼いと組むように決めたのは半兵衛だが、半兵衛自身も三成の参戦には驚いていた。彼は正則のように口車に乗せられるタイプではないし、清正のように情で仕方なくそれに付き合うタイプでもない。三成が動くという事は、それなりに自分にもメリットがあると考えての行動のはずだった。
 ははあ、と半兵衛は三成の胸中を察し、にやりと笑みを浮かべる。
の浴衣姿、可愛いだろうなぁ」
 ぽつりと呟くと、三成の眉間に一筋の皺が寄った。
 なるほど。嫉妬心が原動力か。
「ねえ、ここはお互いの利潤を求めた方が賢くない?」
「利潤?」
 半兵衛は懐から紙片を取り出すと、それを扇のように広げ三成に見せ付けた。
「俺の秘蔵コレクションパート2。今ならこれに温泉旅行中の浴衣姿もつけるけど?」
 どう? と悪魔の囁きを向けると、三成は一瞬顔を俯かせた。
 三馬鹿なんてちょろい、ちょろい――――
 半兵衛が勝利を確信し、笑みを浮かべかけた瞬間、ふんと三成が鼻を鳴らした。
 そして、懐に手を忍ばせると――――
「話になりませんね」
 その手によってかざされたのは、半兵衛の秘蔵コレクションのおよそ二倍の写真――――三成が左近を駆使して撮り溜めた、限定三成コレクション(観賞用)だった。
 な、なんだって――――!?
 半兵衛は雷に打たれたような衝撃を受けた。
 自分のコレクションこそが全てだと信じていた半兵衛にとって、それはまさに青天の霹靂。あの枚数から察するに、おそらく犯罪ぎりぎりアウトなレベルでストーキングを繰り返し、の成長と共に撮り続けてきたのだろう。
「ふっ、あなたのCERO C相当の写真など、俺にとっては画餅も同じ」
「へ、へえ、言うね。てことは、三成のは当然それ以上って事だよね?」
「もちろん。俺はCERO A からCERO Zまで余すところなく揃えている!」
「なっ、全年齢対象から18歳以上対象まで……!?」
 半兵衛はごくりと生唾を飲み込んだ。自分でさえ、15歳以上を対象としたヤ○グジャンプのグラビア程度のお色気写真しか集められなかったというのに、三成は完全大人向け18禁写真を手にしていたのだ。
 というか、そんな写真どうやって撮った。むしろアイコラじゃないのか。
 ちなみに、CEROは家庭用ゲームソフトなどの倫理規定に基づくレーティング規定だが、この際彼らの写真とは一切関係はない。
「当然、あなたの持っていない、幼少期も全コンプリートだ」
 三成は見せびらかすように、写真を人差し指と中指の間に挟みぴらぴらさせた。
 かつて泣き虫だったというの、数少ない泣き顔写真だ。大きな瞳に涙をいっぱいに溜め、今にも泣き出しそうな愛らしい顔は、思わず人を犯罪に駆り立ててしまいそうな破壊力を持っている。
「官兵衛殿が譲ってくれないそんなレアカードまで……」
 半兵衛はぐっと奥歯をかみ締めた。
「これは寝てらんないよね」
 低くそう呟くと、限定三成コレクション(観賞用。このコンテンツには18歳以上を対象とした内容が含まれます。あなたは18歳以上ですか? はい/いいえ)を奪うべく、ゆっくりと羅針盤を構えた。






 一方その頃、清正は官兵衛と対峙していた。
 元々、清正が危険視したのはもう一人の軍師の方であって官兵衛ではない。むしろ官兵衛はねねもびっくりするほどの過保護で、密かに「おかんべえ」などと呼ばれているの保護者である。決してに危害を加える事はない。
 よって官兵衛と清正が戦う必要はないのだが――――何故かここで殺ってしまった方が、俺たちの家のためにいいと清正は未来の自分が告げているような気がした。
「どけ。狩られたくなければな!」
 清正は鎌を持つ手に力を込めた。
 対する官兵衛は、無表情の顔のまま、ふうとため息を付くと、
「卿も南蛮の菓子派か……」
 と意味不明な事を口走った。
 それを無視して清正は踏み込むと、官兵衛を倒すべく鎌を振るった。
 単純な戦力で比較するならこちらの方が上。妖気球と鬼の手を駆使するものの、防御に徹するばかりで官兵衛に勝機はない。
 が、この不利な状況に置いても、官兵衛の無表情が崩れることはなかった。淡々と光の玉を操り、鬼の手を呼び寄せる。
 なんだ、何を狙っている――――
 清正が怪訝に思いつつ、鎌を振り上げた瞬間。
 ぽとり、と防御に回っていた鬼の手の手の平から何かが落ちた。
「なんだ……?」
 怪訝に思い拾い上げる清正。
 表紙には丸っこい字で『と鬼の手のドキマギ交換日記☆』と。
 訝りながらぱらぱらとページをめくると、突如わなわなと震え出した鬼の手が思い切り清正にビンタを送った。
「なっ……」
 驚いた清正の手から交換日記を奪い取ると、鬼の手は官兵衛にそれを押し付けた。
 官兵衛は感情のない顔でそれを受け取り、
「『乙女の交換日記をのぞくとか、マジありえないんですけどぉー。首つって今すぐ死ね!』と言っている」
「は――――
 乙女? 誰がだ? この顔色の悪い軍師か? それとも鬼の手に性別が??
 混乱した顔のまま、待てよ、と清正は鬼の手に手を触れた。
 と――――
 すぐさま、鬼の手によるボディブロー。げふっと身体を折り曲げたところを、ダブルリストロックで捻り上げられた。
 そこへ、
「『気安く触んないでよね。あたしこれでも男は選ぶ方なんだからぁ!』と言っている」
 と官兵衛の淡々とした言葉。
 もはや妖気球は抱えているだけにすぎず、鬼の手は自らの意志であらん限りの暴力を発した。
「ま、待て。こんな動き、公式設定資料集にも載ってないだろ!? それに俺はお前がメスだなんて知らな――――
「『はあ? 乙女に向かってメスってなにそれ。イケメンだからってちょーしこいてんじゃないわよ』と言っている」
「待て、待て待て待て! 本当にそんな事言っているのか!? 官兵衛の一人芝居だろ!?」
「『なにそれ、ウケるんですけどぉー。てか、マジであり得なくない? ちょーキモーイ』と言っている」
 繋がらない会話の中、幾多ものプロレス技をかけられ、清正の体力はじりじりと減っていく。
 このままでは負ける――――
 敗走を恐れた清正は最後の勝負に出る事にした。
 地面を蹴り上げ大きく宙に舞うと、鬼の手を飛び越え官兵衛に刃を振り上げる。
 もらった――――
 清正の鎌が官兵衛の身体を捉えた。その瞬間――――
「なっ……!?」
 清正の鎌に対抗するように、官兵衛が何かを振りかざした。
 清正は虚空を切り、驚愕の表情でそれを見つめる。
 それは精巧に作られた1/8スケール塗装済み完成品フィギュアだった。
「そ、それは、おねね様人形……!?」
 何故、お前が――――!? お前もおねね様狙いか――――!?
 そんな疑問を脳裏に浮かべた瞬間、鬼の手がげしっと清正を殴り飛ばした。意識を手放す瞬間、視界の向こうで官兵衛がにやりと笑った。
 目のパーツを輝く碧眼に取替え、
「愚か者が。これはねね人形ではない――――人形だ」



end


最初はもうちょっと真面目に軍略合戦をしようと思いましたが、
ノリがおかしくなってきたので、このまま進みます。
最後に……
三成と清正を変態にしてすみませんすみません。
天才軍師の軍略がアホくさくてすみませんすみません。
もう軍略なんてまったく皆無ですみませんすみません。
でも、まだまだ続くよ!!!