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!CAUTION!
この話には若干、性的な描写が含まれます。
こちらから制限を設けませんが、自己責任でご閲覧ください。







































時限廻廊05





 凶刃、凶弾、毒の器――――
 世界が共謀して、を殺そうとしているような。
 否――――共謀ではない。犯人は一人しかいないのだ。
 その人間が強く死を願う限り、この運命は変わらない。
 何度でも、何度でも、は死に続け、幾度も、幾度も、半兵衛はこの世界をやり直し続ける。
 同じ時間の繰り返す、この時限廻廊を。
「教えてください……。半兵衛様は何をご存知なのですか?」
 二日目の晩、襖越しに問うの声が響く。
「……半兵衛様?」
 そのまま黙り込んでしまった半兵衛を訝って、は身体を起こした。そっと覗き込むように襖の向こうを見やると――――
「あっ!」
 ふいに伸びてきた二つの腕に絡め取られて、は褥の上に身体を沈めた。
 驚いたのも束の間、半兵衛は馬乗りになるようにに覆いかぶさると、の手を拘束し無理やりに唇を奪った。
「ん、んん……!」
 もがくように四肢をばたつかせるが、半兵衛の噛み付くような荒い口付けは止まない。
 やがて、唇に痛みを感じて顔を離すと、半兵衛の口元から血がじんわりと滲んだ。
「何を……何を、するのですか!」
 密かに想いを寄せていた半兵衛の乱行に、は裏切られたような気持ちで一杯になった。怒りと悲しみがない交ぜになった激情に身体の中が熱くなり、まともな思考を紡げない。
「何って性交だよ」
 冷ややかに告げられた半兵衛の言葉に、は目を大きく丸める。
 まさか、と悪い冗談を聞くようにはかぶりを振った。
 だが、半兵衛の真剣な眼差しは真っ直ぐにに注がれている。
「何があっても、は死んじゃうんだ。だったら、もう……俺は、」
 言っている意味が分からなかった。確かには刺客に命を狙われている。
 だが、それと半兵衛の乱暴に一体何の関係がある。そもそも――――を守ると言い出したのは半兵衛ではないか。
 だが、半兵衛はの混乱を無視して、彼女の両腕を封じたまま、器用に夜着の前を肌蹴させていく。
「やっ、いや……あっ」
 は必死に半兵衛の腕から逃れようとしたが、半兵衛はそれを赦さなかった。
 乱暴に着物を剥ぎ取り、初めて目にするの白い身体にため息を漏らす。
 指先を這わせると、の身体がびくりと跳ねた。唇が肌を味わうように、そこかしこに吸い付く。
「いや、やだぁ……誰かっ」
 は助けを求めるように声を上げたが、咄嗟に布団の端を口の中に詰められた。
「少しの間、黙ってて」
 叱るように厳しく告げると、半兵衛は舌先をの身体に這わせて愛撫を再開する。
「ん、んんん……」
 身体の自由を奪われ、声を封じられた今、の出来る抵抗は半兵衛の与える快楽に持っていかれないよう、身体を強張らせる事だけだった。
 だが、性急な半兵衛の愛撫は快楽とは程遠く、未だ男を知らないの身体を存分に濡れさせる事は出来なかった。
 おざなりの愛撫のまま、半兵衛は事を急くように、の脚を割る。
「ん、んー!」
 何をされるか察したは、身体をくねらせて抵抗した。
 だが、半兵衛はそれをいともせず、脚を抱え込むとの閉じきった中心に、己の雄をあてがった。
 初めて触れる男の熱に、は戦慄する。
 いつか半兵衛と恋仲になれたらと――――密かに想いを寄せていたの純情を、踏みにじる行為。
 こんなのを望んだのではない。半兵衛の事を好いたのは、想いを募らせたのは、こんな――――こんな繋がるだけの情交を求めたのではない。
、いくよ」
 了承など得ぬまま一方的に告げると、半兵衛は無理やりにこじ開けるように、の中を貫いた。
「んんっ!!」
 痛みと恐怖にの身体が跳ね上がり、ふさがれた口が叫び声を上げている。
 きつすぎる内壁は半兵衛にとっても苦しいのか、半兵衛は眉をしかめて、ぐいぐいと身体を推し進めた。
 破瓜の血が純白の褥を汚していく。
 それをいともせず、半兵衛は最奥まで己を埋め込んだ。
 の両眼からぼろぼろと涙が零れている。こんな風に男に組み伏され、自由を封じて純潔を奪われるなど――――思いもよらなかったことだろう。
 だが、半兵衛は己を止めることはしなかった。
 ゆるゆると前後に腰を振り、無理やり押し開くように何度も自分を打ちつける。
 そして、徐々に息を切らし、熱を高めていくと――――
「はっ……もう、」
 の必死の抵抗を物ともせず、半兵衛は一層深く己を打ち込むと、その中に己の歪んだ愛情を二度、三度と注ぎこんだのだった。




 その後、幾度となく貫かれ、は失神するように眠りに付いた。
 初めての情交で快楽など得られなかったに違いない。擦り切れて、血と半兵衛の欲望で汚れたそこを、半兵衛は懐紙で拭うとぐしゃりとそれを握り締める。
 泣き出したい気分だった。
『あなたの事が……好きだったのに』
 と。
 涙と共に吐露された言葉を思い出し、半兵衛は強く唇をかみ締める。
 を傷つける事、裏切る事、悲しませる事――――すべて彼が決してせぬ事と信条にしていた事ばかり。
 その掟を破ってまで身体を繋げたのは、こんな空しい気持ちを抱くためだったのだろうか。
 救いたかったのは――――守りたかったのは、を泣かせるためなどではなかったはずだ。
 なのに、自分はこんな方法しか取る事が出来ない。
 の中により強く深く自分を刻み付ける。憎しみでも怒りでもいい。嫌悪されても、軽蔑されてもいいから――――ただ、の命を守りたいだけなのだ。
 かち、かち、かち、かち――――
 いつしか違和感を覚えなくなった時の音を数えながら、半兵衛はの身体を抱き寄せて朝を待った。



end


ついに一線、越えちゃいました。