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!CAUTION!
ここから本格的に議論が始まります。
テンポを速めるのとミスリードを避けるために、地の文は少なめに客観的な描写のみ、台詞中心で物語を書いていきます。
また、誰の台詞か混同しないよう、「 喋っている内容 」のように台詞の前に発言者の名前を記載します。







































 これは残酷なゲームです。
 欲望と狂気と小さな祈りのゲームです――――




人狼の館07





 二日目 昼 小部屋の一室にて。
 白い布団をしとどに濡らす鮮血と、その中央に横たわるそれ。
 秀吉の無残な姿が晒されている。
 ねねががくりと両膝を落とす。


ねね「お前様……そんな……、なんで……? だって、昨日……あんな……皆で、勝利を掴もうって……だって……皆、うんって、頷いて……ねぇ、それで……」

甲斐姫「うそ……ホントなの? これ、何かの冗談じゃないの!?」

官兵衛「残念ながら現実のようだ。こうして秀吉様の亡き姿が晒された以上、冗談では済まされぬ。この下らぬ遊戯に付き合わなければ、我々はここから出る事は叶わぬのだろう」

ァ千代「やらねばやられる、か」


 一同、疑うように互いの顔を見やる。その顔に普段の和気藹々とした雰囲気はない。


官兵衛「では早速、議論へ移るとしよう」

「待ってください! 秀吉様が亡くなったばかりなのに……、いきなり冷静になれって言われても……」

半兵衛「気持ちは分かるけど……。、俺たちにはあまり時間がない。それは昨日の話で、了承してくれたよね?」

「それは……、分かります。分かりますけど、でも、おねね様が……」

くのいち「ちん、気を付けなって。非協力的だと、狼さんと疑われちゃうよ?」

「そんなっ! 私たちは、悲しむ事も出来ないんですか?」

幸村「くのいち、やめないか! 秀吉様があんな事になって、傷ついておられるのだ。心の傷を抉るなど」

くのいち「でも、本当の事ですしぃ」

官兵衛「正論だ。時間は無限ではない。我らは早々に今日の処刑者を決めねばならぬ」

「……。わかり……ました……」


 一同は秀吉の躯が横たえられた部屋を出、中央の広間へと集まった。
 ある者は壁に横たわり、ある者は丸茣蓙の上に腰を下ろし、円を作るようにして顔を合わせあう。
 部屋の隅に置かれた水瓶から今日の分の水が茶碗に注がれ、それぞれの前に置かれたが、皆惜しむようにちびりちびりと口に含むだけだった。
 ねねだけが茶碗に手をつけず、じっと膝の上に重ねた自分の手を見つめていた。


左近「じゃあ……、早速ですが占い師の人には名乗り出てもらいましょうかね。占い師は昨晩から行動できたはずです。占った相手と結果、その理由を聞いて、推理の糸口にしましょう」


 左近の提案の後、元就と三成が同時に手を挙げた。


三成「俺が占い師だ」

元就「笑えない冗談だね。みんな三成に騙されてはいけない。私が本物の占い師さ」

甲斐姫「えっ、二人も!? どういう事?」

半兵衛「規律じゃ占い師は一人だよ。という事は……」

正則「三成か元就のどっちかが偽者ってことかよ!?」


 現れた二人の占い師に場がざわめく。
 疑念の視線が飛び交う中、官兵衛が落ち着かせるように占いの結果を促した。


官兵衛「卿らが占い師というのなら、まずはその結果を聞こう」

三成「俺は信長様を占った。結果は白、人狼ではない。理由はもっともこの面子の中で縁者が多いためだ」

信長「で、あるか」

元就「私が占ったのは秀吉だよ。人間だった。もっとも……、彼は襲われてしまったから、私の占いは意味がなくなってしまったけれど。秀吉を占った理由は三成と同じさ。彼には縁者が多かった、以上だ」

左近「なるほど。これはずいぶん興味深いですね。お二人に質問、いいですか?」

三成「なんだ」

元就「どうぞ」

左近「現段階で占い師は二人。俺達にはどっちが本物でどっちが偽者か判断できないわけで、当然その占い師たちが白と告げた者もこの段階では判断できません。二分の一で本物、という事は保留するのが妥当かと思いますね」

幸村「なるほど……。確かにこの情報だけでは推測も難しい」

半兵衛「いきなり二分の一の賭けに乗って、本物引いちゃったら目も当てられないしね」

左近「だが、裏を返すと、偽の占い師もそう考えた可能性があります。つまり、とりあえず仲間を一時安全地帯へ入れるために、嘘の白判定を下したりしませんかね?」

正則「あっ、そーか。確かにそうだ。あったまいいな!」

清正「そんくらい考えればわかるだろ、馬鹿」

正則「う、うっせーな」

三成「つまり何が言いたい、左近?」

左近「つまりですね、保留した方がいいという意見はそのままですが、俺は占われた対象も十分注意すべきだと思うんですよ。なので、なぜその人物を占ったのか、もう少し詳しく教えちゃくれませんかね?」

宗茂「まあ、正論だな」

ァ千代「当然だ。ここで答えられなければ、狼だということ。立花の名において剣の錆にしてくれる!」

三成「ふん。馬鹿共にいちいち説明してやるのは面倒だが、疑われるのは不愉快だ。説明してやる」


 そう呟き、三成は一同の顔を見渡した。


三成「 言ったとおり、信長様がこの場においてもっとも縁者が多いからだ。家臣である俺たちにとって、大きな影響力を持つという事は、それだけ発言力も在るということ」

信長「くくっ。で、ある、か」

三成「よく考えてみろ。ここに集った十七人のうち、亡くなった秀吉様も加え信長様の縁者は十人。軽く過半数を超えているのだよ。 もし信長様が人狼で、うまく縁者が誘導されたらどうする? そんな危険な人物を野放しにしておく事は出来んな」

正則「そ、そうか……。考えてるじゃねーか、頭デッカチ!」

三成「このくらい少し頭を回せば分かる。それに縁者が多いという事は、もし獲物が縁者の中から選ばれるならばその範囲も広いという事。人狼は獲物に投票できないと言う性質を利用したくとも、ここまで範囲が広くては推理の仕様がない。ならば、先に占って真偽を確かめるべきだと思った。以上だ」

左近「なるほど。実に殿らしい説明のされようで。元就さんはどうですか」

元就「私も同じ考えだよ。と言うか、三成がすべて説明してくれたからね。縁者が多く、発言力の強そうな人間の真偽を確かめるべき。これがすべてさ」

濃姫「あら、それが本当ならちょっと奇妙ね?」


 くすり、と妖艶な笑みを元就に向けた濃姫へ、一同の視線が集まる。
 濃姫は嫣然とした笑みを浮かべているが、その瞳は冷たい。
 濃姫は唇の笑みを深めて元就をみやり、


濃姫「あなたの言っていること、信じていいのかしら?」




end


三成、台詞なげぇ!
すみません、次回から出来るだけ短く区切るようにします。
さて、さっそく占い師が二人登場してしまったわけですが、どうなる事やら。
次回に続きます。