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『規律 その肆』

 襲撃・占いは一日目の夜、投票・霊視は二日目の昼、守護は二日目の夜より始める事が出来る。
 議論および情報共有は、昼間すべての生存者が聞くことが出来る場所でのみ行う事が出来る。ただし、夜間に行動できる人狼のみ、他の人狼と夜でも情報を共有できる。

 人狼・占い師以外の役割は、二日目の昼の訪れと共に割り当てられる。
 各役割における能力及び制限は以下とする。

村人:特殊な能力はない。夜は行動できず、一度眠りに付くと夜が明けるまで目覚める事はない。

占い師:毎晩、対象者を一人決め人狼かどうか占う事ができる。対象が狂人である場合は見抜けず人間という占い結果が出てしまうが、妖狐を占った場合、妖狐を呪殺する事が出来る。呪殺に成功すると、次の日妖狐は死体となって現れる。

霊能者:毎朝、前日処刑された人物が人狼かどうか霊能力で知る事が出来る。ただし、狂人や妖狐を判断する事はできず、あくまでこの二者に対しては人間という霊視の結果を得る。

狩人:毎晩、対象者を一人決め、人狼の襲撃から守る事が出来る。ただし、狩人自身は自分で自分を守る事は出来ず、また守護に成功しても人狼の正体を知る事はできない。

共有者:お互いが人間である事を情報なしに確信できる。それ以外は村人と同じ。

人狼:毎晩、対象者を一人決め襲撃する事が出来る。襲撃されて死んだ者は、次の日死体で発見される。ただし、人狼が何人いても一晩で襲える対象者は一人のみ。また、仮に狩人が守護している相手を襲撃したり、妖狐を襲撃してしまった場合、襲撃は失敗する。一日目の夜から、人狼は仲間の人狼が誰か知ることが出来る。

狂人:人間でありながら人狼に加担する者。狂人の勝利条件は人狼勢力に基づくが、人間として換算されるため、占い、霊視の結果は人間となる。狂人と人狼は互いに正体を知らない。仮に人狼が誤って狂人を襲撃してしまった場合、人狼勢力であっても狂人は死んでしまう。

妖狐:人狼に噛み付かれても死なない。ただし、占い師に占われると呪殺されてしまう。処刑され死んだ場合、霊視の結果人間と判断される。




人狼の館04





 狂っているというのなら、何もかも狂っているように思えた。
 この館から生還するには、投票によって人外を殲滅し尽くさなければならない。だが一日に処刑できる人数は決まっている。そして、人外が名乗らない以上、推測でその人物を決めなければならないのだ。処刑者が本当に人外かどうか、疑いながら殺せというのか。そんな事が、出来るはずがない。
 しかも、仮に人外を処刑できたとしても、敵は一人ではない。残りの人外がその晩にでも、別の人間を食い殺す。
 どのようにしても、一日に二人は死んでしまうというのだ。
 は与えられた規律を元に、これから半日ごとに進む出来事を想像してみた。
 まず、一日目の昼。今である。
 水の量が少ない事から、たちに残された時間は少ない。何らかの決意を決めたら、各自が部屋に戻り眠りについて夜を待つ。初日である今日は投票は出来ない。
 一日目の夜、今晩。
 人狼と占い師のみが行動できる時間である。人間は行動するどころか、情報を共有する事すら出来ない。
 人狼は最初の犠牲者を一人決め襲撃するのだろう。占い師は最初の対象を決め、相手の素性を占う。
 そして、二日目の昼、明日。
 最初の犠牲者が現れ、人狼と占い師以外の人物も自分の役割を知る。ただし、自分以外の人物の素性を知っているのは、すでに一日目の夜に行動している人狼の三人と、情報の必要なく相手が人間である事を知っている共有者の二人のみ。それ以外の人間は占い師のもたらす占い結果や、議論の上で判断していかなければならない。
 きっとこの日の昼が最も長い時間になる。なにせ、偽情報を考慮しつつ少ない情報で、誰か一人処刑者を選ばなければならないのだ。
 そして、投票により処刑者を決める。もっとも票数が多かった者が、役割に関わらず処断される……
 その儀式が済んだあと再び夜が訪れる。二日目の夜だ。
 この日から、狩人の守護が可能となり、狩人は任意の一人を人狼の襲撃から守る事が出来る。うまく襲撃を防げれば、次の日、遺体は挙がらない。だが……情報が少なく選択範囲の広い中で、人狼の攻撃を防げる可能性は低いだろう。
 そして夜が明け、三日目の昼が訪れる。
 再び犠牲者が現れる。占い師が占いの結果を伝え、霊能者が霊視で昨晩の処刑者が人狼かそうでないか判断できる。
 占い師と霊能者の結果が正しく伝われば、きっと人狼を見つけ出す事は困難ではないはずだ。だが、嘘によって撹乱された場で、どれだけ正しい情報が得られるか分からない。
 そして、再び投票の時間が訪れ、二人目の処刑者を決めなければならない。
 誰かが命を落とし、そして再び夜が訪れる。その繰り返しだ。
 は深いため息を付いた。一日に二人ずつ――――何度そんな悲劇の一日を繰り返せば、この遊戯は終わるのだろう。
 明日の昼には十六人になっている。明後日には十四人。明々後日には十二人……。数えるだけで欝になりそうだ。
「なー、思ったんだけどよー」
 ふいに頭を抱えていた正則が思いついたように口を開いた。
「人狼と占い師はもう自分が何者か知ってるってことだろ?」
「そうだが、いくら馬鹿力のお前が脅した所で名乗らぬと思うぞ? ここでは暴力は意味がないものなのだからな」
「ちっげーよ、この頭デッカチ! そーじゃなくって、狼の野郎は名乗らなくても、占い師は名乗っちまってもいいじゃねぇか。今晩から占いを始めるっつーんなら、占う相手だって話し合って決めた方がいいだろ?」
 な? と主張するように聞いた正則に、三成は盛大なため息を見舞った。馬鹿が、といつも通りの悪態を付く。
「正直に名乗って、今晩その占い師が襲撃されたらどうするのだ。唯一、襲撃を退ける狩人は、明日の晩からでなければ動けぬのだぞ? 唯一の戦力を初日から失うなど、馬鹿の極みだ」
「うっ……そこまで言わなくたっていいじゃねぇか……」
 三成の言葉は正論である。人狼を炙り出す前に、格好の餌を晒してしまう事になるのだ。だが、正則はちょっと言ってみただけじゃねぇか、と不貞腐れている。三成にしてみれば余計な事を言うなという気持ちだろうが、正則もまた不用意に発言できない緊張感に苛立ち始めていた。
「あ、あの……」
 不穏な空気が流れる中、が恐る恐る手を上げた。
「ひとつ……提案があるのですが……」
 一同の視線がに集まる。は恐縮しながら、ゆっくりと自分の想いを語った。
「これからの事を自分なりに整理して考えてみました。きっと……明日から疑心暗鬼にとらわれて、誰を信用すればいいのか分からなくなってしまうと思うんです」
「うーん、そうじゃなぁ。そうならんと信じたい所じゃが、そりゃ楽観的すぎるじゃろ」
「今はまだ狂人や妖狐と言った不確定要素も、自覚がない状態です。だから、今日のうちに話してしまおうと思うのですが……」
 そこでは言葉を切った。戸惑いの表情を見せたあと、意を決して告げる。
「もし明日、人狼らしき人物が見つからなかった場合は……、私を処刑者に選んでもらえないでしょうか?」




end


ようやく役割説明。長い。
ルール説明ばかりですが、あともう少しなのでご辛抱を!
現段階で人狼と占い師以外、自覚がないのは、
妖狐と狂人のミスリードを排除するためです。
ゲーム説明で妖狐と狂人が入ってたらカオスなので。