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!CAUTION!
こちらの夢は「たおやめ」「ますらお」に続く、性転換もの夢です。
いきなり半兵衛女体化から始まります。
直接表現はありませんが若干ユリユリしているかもしれません。
それでも許せる方のみお進みください。







































たお×ます02





 その日の晩、は風呂に浸かりながら、昼間の一件を思い出していた。あの取り乱し様――――皆にはどんな風に映ったのだろうか。
 思い出しては知れずため息が漏れる。
 あんな風に混乱する事ではなかったはずなのに、何故かァ千代が半兵衛に触れているのが赦せなかった。
 女同士なのに――――
 一度男になったせいか、自分はおかしくなってしまったのだろうか。今の半兵衛のことも、同じ女だとは思えない。男でもないが、半兵衛は半兵衛という特別な何かだ。
 早く治らないかな……
 天性丸の効果は永続的なものではない。幾日か日が経てば、元の姿に戻れるはずだ。待てばいつの日か、すべてが嘘のように元通りになる。
 それまでは、あんまり近づかない方がいいかも……
 は鼻辺りまで湯に浸かって、ぶくぶくと息を吐き出した。
 と、脱衣所の方から物音が聞こえた。
 おねね様かな――――
 が視線をそちらに放ると、がらりと浴場の扉が開いた。
 そして、そこに立っていた人物の姿に唖然とする。
「へー、女湯って初めて入るけど、造りは男湯と左右対称なんだねえ」
 湯気の先に見える裸体は、まごう事なき半兵衛のもの。見慣れぬ胸の膨らみに、は驚いて視線を反らした。
「は、半兵衛様! ここは女湯ですよ!?」
「うん、知ってる。でもこの身体じゃ、男湯にも入れないじゃん」
 それはそうだが、女湯に入られても困る。が顔を真っ赤にしてそっぽを向いていると、ひたひたと足音が近づいた。手ぬぐいすら持たぬ一糸纏わぬ姿に、風呂の熱気も手伝って、は大いに赤面した。
「ま、まままままま、前隠してくださいっ! っていうか、堂々と覗きに入らないでください!」
 手で視界を覆い隠すようにして言うと、
「いいじゃん。どうせだって、同じものついてるんだし。それに……俺たち知らぬ仲でもないでしょ?」
 と、にやりと笑う。
 確かに半兵衛が竹姫になった時、想いを伝え合い、恋仲にはなったが――――
 そういう問題ではない! 
「それにだって男になった時、男湯使ってたじゃん」
「あ、あれは、ちゃんと人が入ってこない時間を選んで――――って、話を逸らさないでください!」
 まあまあ、と適当に話を流して、半兵衛はのいる湯船に足を入れた。すぐさま手ぬぐいで身体を隠し、湯船の隅に避難する
「そんな固くならないでさぁ〜」
 言いながらも、さすがに近くに寄ると殴られかねないので、半兵衛はと距離を取った位置で身体を沈めた。
 ぴちょん、と天井から落ちてきた水滴だけが、静寂を割る。
「ねえ、はさ」
 おもむろ半兵衛が口を開いた。
「男の俺と、女の俺――――どっちが好き?」
 質問の意図が分からなくて、は一瞬言葉に詰まった。一拍まるまる間を空けてから、
「当然、男性の半兵衛様です」
 と、きっぱりと言う。
「だよね」
 むしろそれが当たり前だろう。逆に女だと答えられたら、半兵衛は今後一生、天性丸・改を呑み続けなければならない。
 だけどさ、と半兵衛は勝利を確信した顔で言う。
「今の俺のことも、は嫌いじゃないでしょ? なんで?」
 そんな事を問うてどうするのだ。にやにやと向けられた笑みに、はげんなりとしつつ、唇を尖らせた。
「だって、半兵衛様は半兵衛様ですし……。私が男になった時も、ずっと側にいてくれたから……あ、でも、別に女性が好きとかそういうのじゃないですからね! 半兵衛様だからです!」
 それが聞きたくて、自分はきっとここへ来たのだろう。半兵衛は頬を緩ませると、おもむろにに抱きついた。
 ぎゃあ! とが悲鳴を上げる。
「何をするんですか! ちょっ、あたってる! 胸あたってるので、やめてください!」
 必死に抵抗するを、半兵衛はこれでもかというくらい抱きしめた。この喜びをそれ以外で表現する術がない、とでも言うように。
「ああ、もう、結婚しちゃおうか、今すぐに」
 戯れにそう言うと、はぼっと顔を赤面させた。今にも泣き出しそうな、嬉しいような情けないような複雑な表情で半兵衛を見やる。
 と、
「もう……駄目です」
 呟いて、は撃沈してしまった。
 半兵衛の登場で、風呂から上がり損ねたらしい。しっかり湯だってしまった桜色の身体を、半兵衛は愛おしげにもう一度抱きしめた。






 目が覚めると、半兵衛の顔が真上から見下ろしていた。
「あ、起きた」
 何でこんなに近いのだろう、とぼんやりと考えて、自分が半兵衛に膝枕をされている事にはたと気づく。
「は、はははははは、半兵衛様!」
 あわてて起き上がったところ、ぐらりと眩暈に襲われて、再び膝の上に頭を落とした。
「湯あたりしたみたいだから、急に立ち上がらない方がいいよ」
「……はい」
 視界がぐるぐると時計回りに回っていた。まるで千里眼を酷使した時のように、身体が動かない。
 なんだかもの凄く恥ずかしい事をされている気がするが、できるだけそれは考えないようにし、視線を辺りに巡らせる。
 の自室だ。気絶したを半兵衛がここまで運んでくれたのだろうか。
「すみません……」
 力なく謝ると、半兵衛がいいのいいの、と首を振った。
「女になっても、を抱えられるって事が分かったから。同性なのに、やっぱ身体の構造が違うんだね」
「そうなんですか……?」
「うん。俺、そこまで腰細くないし、脚とかだってけっこう筋肉ついてるから」
 見る? と問われて、はすぐさま遠慮します、と答えた。
 障子の隙間から流れる夜風が心地よかった。頭がぼんやりして、このまま眠りについてしまいそうになる。
「ねえ、
「はい?」
 うつらうつらしていた寝ぼけ眼で半兵衛を見返す。
「俺、が好きだよ。どんなになっても、が好きだ」
 私も、と答えると、半兵衛は嬉しそうに笑んだ。
 そして、ゆっくりと顔を降下させ、逆向きのままの唇に口付けた。
 なんだか変なことしている。この逆向きの口付けと同じように、どこかで違和感を感じつつ、いつもこうして重なり合う。
 手を伸ばすと、半兵衛が指の間に指をからめ、きゅっと握ってくれた。
 嗚呼、どんなに姿が変わっても、きっとこの想いは変わらない――――
 そんな事をぼんやり思いながら、は静かに目を閉じた。
 と、
「!?」
 がばりと跳ね上がり、は口元を押さえた。
 今、何か球状の物体を、口移しで飲ませられた……
 が顔を蒼白にさせて半兵衛を見やると――――
「だってさぁ、俺が戻るまでこのままって、なんか詰まんないでしょ?」
 にこりと笑んで、目の前に掲げられたのは――――忘れもしない天性丸の小筒。
 は懸命に吐き出そうとしたが、すでに食道を流れ落ちて言った小さな丸薬は、戻る事はなかった。
 そして――――



「嫌です! やだやだやだやだ、絶っっっ対嫌なんです!!」
「聞き分けぬか、
「いやだったらいーやーでーすーっ! 私、絶対会いませんから!」
「まあまあ。、落ち着きなよう」
 今すぐにでも座布団を蹴り上げて席を立とうとしているを、半兵衛が宥めすかせて座らせる。官兵衛はそんなの往生際の悪さに、知れずため息を漏らした。
 いつか見たような似たような光景。違うことと言えば、と半兵衛の役柄が入れ替わり、止める役であるはずの半兵衛がにやにやと笑みを浮かべていることくらいだ。
「やあ、元気そうで何よりだよ」
 と、襖を開いて現れた男に、はびくりと身体を震わせた。その両際を守る立花の顔も、あの日と同じ。相手がなので、若干宗茂の表情が柔らかいくらいか。
「元就公、ひっさしぶりー」
 と、半兵衛は機嫌よく三人を招き入れた。
「何をしにいらしたのです」
 と、は遠路はるばる来た客人に、手厳しい出迎えである。
「いやあ、君が薬のせいで男性になったと聞いたから、こんな面白――――じゃなかった。珍しい事は、ぜひ実際に確かめて書に記そうと思って」
 記すなんてとんでもない!
 そもそも、一度ならず二度までも、面白いといいかけた所が腹立たしい。
「しかし、見た目には全然分からないね。とても本当に男性になったとは思えないよ」
 三人の視線が一気に注がれて、は居心地が悪そうに身をよじった。
 体格は変わらず、男女の特徴だけ変化したという、中性的な身体。だが、の場合は、それに得も言えぬ妙な色気が伴う。
 の美男子ぶりに、ほほう、と三人が感心したように声をあげた。
「一目見たのだから、もうよろしいですね」
 と、はそそくさと立ち上がりかけた。
 これ以上、つまらない話をされる前に立ち去るのが一番。と、両膝を付いて腰を浮かしかけたところ――――
「ふうん、見た目には分からぬがないのだな」
 ぺた。
 ァ千代の両手がの平らな胸を撫でた。
「なっ……」
 真っ平らの胸を確かめるようにまさぐるそれ。自分で触ったことはあるものの、人に触らせたことは一度しかない。それもかつて触った正則は、とその場に居合わせた皆の手によって、ずたぼろに葬り去られたのだった。
「な、な、な……」
 口をパクパクと動かし、が二の句を次げずにいると。
 べりっと、二人を引き裂くように、半兵衛が二人の合間に入った。
 そして、
「こーれーはー、おーれーのっ!!!」
 と、したり顔での胸に頬を摺り寄せた。対して顔を真っ赤にし、言葉を失う
「ふん? 貴様らにはそういう倒錯した嗜好があるのか?」
「べっつにー。ただ男女が入れ替わっただけだし」
 とにかく! と、びしりとァ千代の鼻先に指を突きつけて半兵衛は叫ぶ。
はどんな姿でも、俺のものってゆーこと! あなた達も承知しているよね?」
 と、厳しい目で元就と宗茂を見やった。
「ははは。元から、そんな命知らずな事はしないよ。まあ、ァ千代のおかげで面白いものが見れたけれどね」
 元就はそう言って笑うが、初めからそれを狙って二人を連れてきたのではないか、とすら思えた。いつも飄々としているくせに、時折老獪な顔を垣間見せる。
「じゃあ、書にはよろしく記してください。仲睦まじい逆転した恋人たちがいたってね」
 了解したよ、と元就は気前よく答えた。
 取り残されたは、何が何なのやら分からぬままで――――
 ただ、互いにどんな姿になろうとも、この人との相柄は変わらないのだと、それだけを確信した。




end


色々すみません! 誤解を生みそうなので弁解を。
ユリを勧めているのではなく、男女入れ替わっても仲良し!……を書きたかったのです。変な話になったけれど!
とはいえ、これでひとまず一通りはやった事になるのかな?
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
紫苑さん、素敵なリクエストありがとうございました!
要望どおりの話になっていないかもですが、どうぞお納めください!


(ところで半兵衛もヒロインも、身体が変わったところで、
天性丸をもう一度飲めば治るかもしれませんが、
そこは二回目は即効性がないってことで、一つ…。)