080.取り留めのない言葉
「料理がしたいです」
ヴェ、と聞いていたフェリシアーノが意外そうな声を上げた。は微笑んで言葉を続ける。
「たくさん、たくさん、食べきれないくらいご飯を作りたいです。お祖父様の好きな塩鮭とか、すごく甘いぼた餅とか、外国の料理も挑戦してみたいです」
その光景を思い描いたのか、は口元を袖で隠しくすくすと笑った。
「イギリスさんの家のビーフシチュー、お祖父様が作ったらまったくの別物になってしまったんですよ。だから、ちゃんと習って作りたいです。フランスさんのクロケットも、ドイツさんのクーヘンも、あなたの家のパスタも」
たくさん、たくさん、誰も決して餓える事がないくらいたくさん ――――
「そんな事をしてみたいです。戦争が終わったら」
切なげに呟いたその瞬間、フェリシアーノは我に帰り自らが最初に口にした質問を思い出す。
この戦争が終わったら何をしたいーーーー
寿命で死なない身体であっても、長い時を過ごしても、それでも未来や明日を夢見る事があって、それはこんな何気ない事で幸せになれる平凡な日常なのだ。
何故だかフェリシアーノは目の奥が火がついたように熱くなり、まともにを見ていられなかった。
涙を隠すようにの肩を抱きしめて、そうだね、そうだね、とただ相槌を打つ。
「その時は俺にも手伝わせて欲しいな。俺、たっくさんピッツァを焼くよ。パスタもたくさん茹でるよ。みんなが食べても食べても無くならないくらい、だから……」
end
しまった。人名と国名ごっちゃだった。