014.いいにおい
ソファに座ったの頭をヘッドロックの要領で固定して、流れるような豊かな髪に鼻先を擦り付ける。すんすんと鼻を鳴らすと、
「なんだか変態チックだよ」
と、が困惑したような呆れたような顔で振り返った。
そんな顔をされると、思わず神威はいたずらっぽい表情をしてしまう。まるで相手が困るのを喜ぶ子供のような心境だ。
「俺、のにおい好きだよ」
と、これまた返答に困るような事を言ってのけ、困っているを見てにこりと微笑んだ。
背後から頭を抱え込むような体制で、不思議だねぇと呟く。
「どうして同じシャンプー使ってるのに、はいいにおいするんだろう」
シャンプーどころか、風呂場にあるボトルというボトルすべてが、戦艦全体で統一された配給品だ。が女性だからと、特別なコスメを取り揃えたわけではないし、安さと量重視で阿伏兎が選んできたよくあわ立つ洗剤のようなものばかりである。
「皆、同じの使ってるんだから、同じ匂いするはずだよねー?」
不思議だなぁと呟きながら、神威はの豊かな髪に鼻先をうずめる。鼻先がうなじをくすぐって、夕重はくすぐったそうに首をすくめた。
柔らかな花のような香りにまどろみを覚えながら、もしかしたらシャンプーだとかそういう匂いじゃなくて、自身の香りなのかもとぼんやりと思った。
end
短い。特に起伏もなく……