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!CAUTION!
何の前触れもなく銀時とヒロインが顔見知りです。
あと、DBネタが余計に多いです。
問題ない方のみお進みください。




















空想略奪愛・糖





 天人とオンナと寝るのってどういう気持ちなんだろうな――――
 唇をビールで濡らしながら、銀時はそんな事をぼけっと思った。
 宵に差しかかったばかりの、スナックお登勢にて。まだまだ夜はこれからだと店内のテーブルでは歌舞伎町の奴等がドンチャン騒ぎに興じているが、カウンターに座るこの二人はそれに加わらず、ただ粛々とそれが務めであるかのように杯を煽った。
 と言っても、一人はすでに潰れてしまっている。
 透き通るような白い頬を、ほんのりと桃色に染めて心地よさげにくうくうと眠っている。
 まったく呑気なものだ。
 年頃の娘としての自覚が欠けているんじゃなかろうか。いくら顔見知りな上に、知人の店で飲んでいるからと言って、銀時がそのままお持ち帰りしてしまわない保証がどこにある。
 そう、真上は彼の居城である万事屋なのだ。ついでに今日は神楽もいない。連れ込んでしまえば、それまでなのだ。
 そんな事を詫び入れもなく考えて、ふとそういや天人とセックスしたらどうなるんだ、と疑問に思った。
 天人の襲来以降この異星人の行き交う江戸では、地球人と天人のカップルというのも少なくない。むしろ天人好きの人間のために、それご用達のお店というのも増えつつある。  
 どんなにニーズにも応えちゃう、地球人らしいサービス精神。そして、順応力。
 なさけねェなァ。オンナまで宇宙製がいいなんて、最近の草食男子はなに考えてるんだかねェ。
 いやいやいや、銀さんはアレよ? べつに天人とかキョーミないし。もっ全然ないし。乳とか尻がボーンでアレでも、断然地球の女の子の方がいーし。
 いやになっちまうなァ、とがりがり頭を掻きつつも、銀時の視線はカウンターで眠りこける少女の艶やかな唇に釘付けだった。
 人型ならアリなんじゃね? と素直な自分がぴょこりと生まれる。
 猩猩星のゴリラみたいなのなら、全力で拒否――――というか、結合可能なのかよくわからんが――――させてもらうが、天人の中には人間とほぼ同じ器官を持つ種族も多く居る。
 そう――――そこで眠りこけている夜兎もそうだ。
 あまりに人間に酷似しているので、これが見知らぬ星の生き物である事をたまに忘れてしまう。
 あの驚異的な食欲と馬鹿力を目にしなければ、人間の女と外見は変わらないのだ。
 当然、夜兎族の女のハダカなど見た事はないが――――出来るか出来ないかで言えば出来る。それはもはや本能による直感だ。己の遺伝子を残すために、雄に与えられた天然のドラゴンレーダーだと思えばいい。
 で、だ。
 この四星珠を手に入れるかどうかですよ、奥さん。
 レーダーに反応あり。すぐ手に入るところにそれはある。
 が、仮に手にしたら、当然のごとく同じドラゴンボールを狙うハチャメチャな奴等が押し寄せてくるわけですよ。
 ついでにこの四星珠は意思がある上に、めちゃくちゃ強ぇぇので、事をなしたあと生きていられる保障がない。と言うか、最中で起きるか。さすがに。
 じゃあ、少しばかり考え方を変えてみよう。サイヤ人の弱点が尻尾であるように、夜兎も完璧無敵というわけではない。
 こうして高々数%のアルコールで酔っ払ってしまうのだから、感覚を麻痺させる事は可能なのだ。
 前に酒に睡眠薬を入れると、酷い酔い方をするなんていうのを聞いた事がある。ただのガセかもしれないが、お手ごろな上に失敗しても誤魔化しがきく。
 もし成功したら――――さも優しく介抱するような顔で連れ込んで、ソファの上に押し倒して……
「おい、銀時!」
「うぉぉっ!?」
 突然、お登勢に名を呼ばれ、銀時は椅子から転げ落ちるほどの勢いで仰け反った。その表紙にジョッキからビールが飛んで、着物の前を濡らした。何やってるんだい、とお登勢が呆れ顔を向ける。
「その子、寝ちゃってるじゃないのさ。送ってってやんな」
「いや、俺、家とか知らねーし」
「はぁ? ったく、使えないヤツだねぇ。じゃあ、アンタんちに泊めてやんな。あのチャイナ娘と一緒に寝かせときゃいいよ」
 いや、今日は神楽はいなくてよう――――
 言いかけて、思わず言葉を呑み込んだ。
 ソファの上に押し倒して、熱で火照る肌を弄って――――暗闇に溶けてしまいそうなほど濡れた瞳が銀時を見上げる。
 そんな妄想が脳裏に広がって、ゴクリ、と生唾を飲み込んだ。
「お、おう」
 ぎこちなく応答し、お登勢の手を借りての身体を負ぶった。
 落とすんじゃないよ! と母親のような口調で言う、お登勢の声も聞こえない。
 スナックお登勢の戸をガラリと閉め、一歩、二歩とゆっくりとした足取りで歩いた。
 背中の感触は妙に柔らかかくて温かい。まるで小動物を背負っているような心地が、なおさら銀時から現実感を奪う。
 いやいや、マズイでしょ。落ち着きなさいよ、アンタいい大人でしょ、と――――銀時の中の良心がオカンのような口調で告げる。
 が、銀時の足は一歩、一歩とゆっくりと前に進むのだ。
 いや、わかってるって。わかってるけど、ほら、男の子ってお母さんのいうコト、素直に聞けないじゃん? 外の世界とか憧れちゃうでしょ? 摩訶不思議アドベンチャーしたくなっちゃうでしょ?
 クリリンだって、あの18号を嫁さんにしたんだぜ? 断然、18号の方が強いのに、あのハゲが惚れさせちゃったわけよ? つまり、男は強さじゃないってことだよね? ね、ね、ね?
 もはや良心の声も届かない。
 よし……。つっかもうぜっ、ドラゴンボールッ!
 銀時は顔を上げると、意を決して万事屋への階段を上りかけ――――
「ん……、銀さん……」
 背中に負ぶった少女が、ふふっと笑ったかと思うと銀時の名を呼んだ。
 一瞬、起きたのかと思いきや――――穏やかな寝息は続いている。爆睡だ。完全に安心しきった顔で、眠りこけている。銀時を信じて。
「ああ……くそっ!」
 銀時はがしがしと髪を掻き毟ると、徐に携帯電話を取り出した。それを耳にあて、
「おう、お妙か? 悪ぃ、ちょっと面倒みてもらいてぇヤツがいるんだけど。 あ、違ぇよ、俺じゃなくて……」
 むざむざ無防備な四星珠を見逃してしまう自分は、とんだお人よしだと胸中で毒づきながら、銀時は暗い夜道をを抱えて歩くのだった。




end


初銀さん夢。
据え膳喰わぬは〜と思いながらも、信用しきってるヒロインを裏切れないお人よし。
DBネタが多いのは特に意味はありません(笑)