この話には暴力的、下品な表現が含まれます。
苦手な方はお戻りください。
空想略奪愛・暴
「生きながらハラワタを引き摺り出すよ、きっと」
返って来たのが予想通り――――否、予想の1.5倍くらい血生臭い回答で、高杉は思わずクククと笑みを零した。
てめぇの目の前であのオンナを犯してやったらどうする、という戯言に幾分かの挑発を含めた質問に対してである。
「腹の辺りって意外と柔らかいんだよ、知ってた? 俺がちょっと押せばすぐ穴が空く。でも貫通はさせない。それじゃあすぐ死んじゃうから。とりあえず穴から腸を引きずり出して、先っぽでもその生意気な口に突っ込んでみようか?」
食道に通して輪を作れば永遠に食い続けられるよ、そんな事をいつもの笑顔で淡々と答えるのだった。
例え話に乗っかった冗談のような答えだが、おそらくこちらが例え話を真実にしたら、あちらもそれを本当にするのだろうなとぼんやりと思った。
その事を口にすると、意外にも神威はどうかな? と小首を傾げて見せた。
「瀕死で生かすのって結構難しいんだよ。しかも、俺はめちゃくちゃキレまくっているわけでしょ? 自信ないな。意外とさっくり……」
殺しちゃうかもね――――
にぃっと唇で弧を描いた神威は、彼がヒト型をした化け物であると再認識させるほどに凶悪だった。
だが、きっとこれは高杉の悪い癖なのだろう。
危険なもの、凶暴なもの、凶悪なもの。
それらを極限まで極めていればいるほど、触れてみたいと思う天邪鬼な性格なのである。
それにこんな顔をさせておいて、こちらも引き下がるわけにはいかない。
神威が見せた一抹の苛立ちを触発するように、高杉は唇に笑みを浮かべて、より効果的な言葉を選んでいく。
「ずいぶん余裕がねぇんだな。たかがオンナ一人に」
「自分のオンナを寝取られて笑ってられるほど、俺の心は広くないよ」
笑うつもりじゃねぇか――――人の腹にドでかい穴ぶち開けて。
「だが、オンナが裏切らないとも限らねェ。てめぇから腰振ってたら……どうするよ?」
最愛の、大切な、唯一の、そんな女が、自分にしか見せた事のない愉悦の笑みを浮かべて享楽に耽っている姿をもし目の当たりにしたら――――一体、どうする?
神威の表情は動かない。だが、神威の一瞬の沈黙は、明らかに動揺の証に違いないと高杉は踏んだ。
密やかな優越感に浸る。
なァ――――と、獲物をいたぶるような嗜虐的な心地で答えを促すと、アハハと神威の口から乾いた笑いが響いた。
「そうか。うん、そうだね。一本取られたよ。そういう想定はしてなかったや」
どこまで自意識過剰なのだ、と高杉は呆れて見せる。
だが、真実だろう。自惚れでは無く、が自分を裏切るはずなどないと思い込んでいたのだ。
それは決して確かな愛情や、固い絆で証明されているのではなく、単純に、自分がそれを赦さないと――――万が一にでも起こり得る要因など、すべて駆逐しつくしてやると決めていただけなのだ。
「てめぇのその自信の方が俺は驚きだけどな」
「そう? うん。でも、どうしようか。そういう事は考えてなかったからな。とりあえずはこっぴどくお仕置きするとして――――」
神威の蒼穹のように青い目がちらりと高杉の顔を盗み見た。
間違いなく、脳裏で二人の裸体が組み合わさる姿を妄想し、ある種の感情と共にすっと瞳が細められる。
「殺すか?」
愉悦を浮かべて尋ねると、いや……、と神威は首を振る。
明らかに例え話を超え、高杉本人に喧嘩を売るような鋭い口調で、
「その前に腸を食わせてやるよ。生まれた事を後悔しながら死ね」
end
今度は神威に直接喧嘩を売ってみた高杉先生。
想像以上に血生臭い回答が返って来ちゃいましたが、
神威の動揺を誘えたのでそれはそれで満足。