夜兎族についての捏造いっぱいです。
直接的なエロスはありませんが、内容が性に関するものです。
問題ない方のみお進みください。
とある生物学者のレポートより――――
一般的にヒト型を取る天人は、生殖行為それ自体に大きな差異は見られないものである。いわゆる年中発情の状態であり、季節にかかわらず繁殖する事が出来る。どの季節においても子を育てる事が出来る安全が、種にもたらせているためである。
天敵を多くもつ動物ほど、多産、発情から出産までの期間が短い、多胎、重複妊娠が可能など、より多くの子を残すメカニズムが備わっているものだが、ヒト型の天人にそれは当たらない。つまり、それらの機能を必要としない強さも備えているためと、考える事ができる。
よって、安全が保証された強い種であるほど、生殖に余裕がありそれをコントロールできると言ってよいだろう。
しかしながら、類稀な強さを持ちつつも、種の生存本能の支配に翻弄されるヒト型の種族が一つだけ存在する。
夜兎族である。
宇宙最強と誉れ高き彼らであるが、驚くべき事に彼らの生殖率は極めて低い。
統計的に見ても雌の数が少なく、また出産率の低さが特徴として挙げられる。科学的な根拠は示されていないが、ロマンチックな解釈を与えるならば“強さゆえ”という事になるのだろう。
生まれながらの強靭な肉体ゆえに、子を繁殖させる機能が著しく低いのは生物学の皮肉である。
加えて、彼らの多くは一年中、戦場の中に身を置く習性にある。そのため強さは兼ね揃えているものの、環境としての安全は保証されていない。
当然、戦場を離れて安全なねぐらを探せばいいものだが、そこには抵抗しがたい闘争本能が存在する事は種の繁殖に反する大いなる矛盾である。
ゆえに、この矛盾を覆すべく、彼らの生殖には動物的な特徴がいくつか見られる――――
正しい兎の保健体育
空気が変わったと――――その瞬間、阿伏兎はそれを本能的に感じ取った。
皆、高揚したような顔でそわそわしながら、盗み見るような視線を送っている。堂々とモーションをかけられないのは、それが死に直結する行為であると知っているためか。
真っ直ぐにこちらへ向かって歩いてくる人物を遠目に眺めながら、まずいな、と胸中でごちた。
きっと鏡を見れば、周りの団員を笑えないようなだらしない顔を自分はしているのだ。緩みきった口元に、高揚した頬、そして粘着質ないやらしい視線。
いや、いやいやいや、死にたいのか――――
阿伏兎は己を叱咤するようにかぶりを振ると、神妙な顔で前を向いた。
が。
――――ああ、駄目だ。無理だろ、コレ。
早々に本能には逆らえないと知り、深くため息をつく。
向かってくる人物、は緋色のチャイナドレスに皮製のバックルに長刀を挟んだいつも通りの姿。髪型を変えたのでも、化粧っ気があるわけでもないと言うのに。
――――キラキラのエフェクトがかかってやがる。
そう例えるしかない。
一歩、一歩、ブーツのかかとを鳴らして歩くたびに、その四肢といい体中から星のような輝きが舞う。無骨なセラミックで囲われた艦内だと言うのに、その背後には幻想のお花畑が広がっている。
まるで幻覚作用――――否、その通りだ。
「阿伏兎。約束の書類」
は素っ気無い仕草で阿伏兎のデスクの前に立つと、手にした書類を彼の目の前に伸ばした。
「あ、ああ……」
極力顔は直視しないよう、顔を俯かせてそれを受け取った。
が、両目はいつの間にやら、スリットから覗く白い足や、細い二の腕、そして胸からくびれにかけての曲線を、舐めるように見ていた。
ため息が出る。自己嫌悪で死にそうだ。
「ありがとよ」
不自然に顔を俯かせたまま、もう行けと言わんばかりに手首を振った阿伏兎を、は怪訝な表情で見る。それに自分に注がれるこの無数の視線――――なんだろう。
「ねえ、なんか雰囲気ヘンじゃない、ここ?」
顔を上げてぐるりと見渡すと、と目が合いそうになった瞬間、団員達は顔を逸らすのである。
奇妙――――を通り越して、何やら不快だ。
「……さあな」
さっさとに退出して欲しい阿伏兎は、渡された書面を食い入るように見ながら、素っ気無い返答をした。
が、はその態度も気に食わない。
「おかしいよ。阿伏兎も」
「気のせいだろ」
「そんな事ない。ねえ……阿伏兎ってば!」
一向に目を合わせようとしない阿伏兎に腹を立て、は強引に阿伏兎の書類を奪った。あっ! と声を上げて、阿伏兎が顔を上げた瞬間、至近距離で視線がかち合う。
特に普段と変わりはない。はむうっと眉根を寄せて不可解そうな顔をしたが――――実は普段と変わらないと感じたのは、一人だった。
阿伏兎の視界の中では、まるで一昔前の少女マンガのように薔薇の花が咲き乱れ、きらきらと目にお星様を湛えたが、こちらを見ていた。
「何かあったの、阿伏兎?」
艶やかな桜色の唇に、ごくりと唾を飲み込む。
「熱でもある?」
無防備な指先が阿伏兎の額に添えられて、それだけで体温が上昇してしまった。
「あれ、ちょっと熱い?」
「う……」
「寝てた方がいいんじゃないの?」
「やめ……」
「え? なあに?」
よく聞こえなかった、そんな事をは言ったような気がしたが、阿伏兎の耳にはもはや届かなかった。
耳に髪をかけて顔を寄せたはそれこそ理性を粉砕するほどの破壊力を持っており、阿伏兎に残された最後の分別を粉々に砕いてしまったのである。
後にその場に居合わせた団員は感涙を流しながら語る――――
阿伏兎副団長は最後の一瞬まで、紳士であろうとしました。耐えに耐え、悶絶しそうなほどの誘惑に抗ったのです。しかし、ついに副団長は本能の前に膝を折り、銀河の星へと還られたのです。敬礼ッ!
所詮、野生の獣は本能には勝てない。
「すまん! ヤらせてくれ!」
阿伏兎は最後の理性を謝罪の言葉に込めて、欲望を露わにに飛び掛ったのだった。
end
夜兎って一応天人だし、色々変わった特性がありそうです。
あとレポート部分、適当なので変な文章ですがどうかご容赦を。
学術書の書き方なんて知らない(笑)